令和7年3月14日、令和6年度卒業式?修了式を挙行しました。
暖かな日差しのもと、学部95名、大学院博士前期課程4名、大学院博士後期課程1名が新たな道への一歩を踏み出しました。
今年度は卒業生?修了生、保護者の皆様、教職員に加え、ご来賓の皆様をお招きし、中国足彩网感染症以前の形式にて執り行いました。
全体の様子
学位記授与
学部代表 旅立ちの言葉
博士前期課程代表 お礼の言葉
博士後期課程代表 お礼の言葉
記念撮影
記念撮影
春の息吹が感じられる今日のよき日、中国足彩网看護学部看護学科を卒業生95名、大学院博士前期課程修了生4名、後期課程修了生1名の皆さん卒業、修了おめでとうございます。今、大きな目標を達成し、新たに旅立とうとする皆さんは、とてもりりしく輝いています。
また、本日はご多忙のところ、ご臨席をたまわりました関係者の皆様、実習や研究でお世話になりました各施設の皆様、誠にありがとうございます。そして保護者の皆様方には、学生の成長を見守り?支え、励ましていただきましたことに御礼申し上げますとともに無事に卒業や修了を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。
思い起こすと学部を卒業される皆さんの大学生活は、コロナウィルス感染症への予防対策が定着した中で始まりました。感染予防対策を講じた対面授業の継続、2年次の基礎看護学実習Ⅱに先立ち、先輩の看護の燈を受け継ぐ「継燈式」、球技大会をはじめとする自治会活動、1?2年次は制限を加えた学園祭でしたが、最終学年にはコロナ禍前の桜蓮祭となり市民との交流を深めることができました。
これらすべては、みなさんがルールを守りながらも知恵を出し合い、制限の中で内容を充実させる努力の基に実施できた事です。この経験は皆さんが何等かの危機にぶつかったとき、不自由だと嘆くのではなく、最大限の可能性を考える行動に活かされていくと感じます。
私の故郷である群馬には、星野富弘さんという詩画作家がいらっしゃいます。身近に咲く花の絵と一緒に添えた詩が特徴的です。こんな詩があります。
「神様がたった一度だけこの腕を動かして下さるとしたら母の肩をたたかせてもらおう」
ご存じの方もおられると思います。星野富弘さんは中学校で保健体育を担当する教員でした。24歳の時、クラブ活動指導中の事故で両手足の機能を失う脊髄損傷となり大学病院に9年間入院しました。入院中から、残された機能である口に筆をくわえて絵や詩を創作していきました。昨年4月、78歳で他界されましたが、その作品は世界で紹介され多くの人々に感動や勇気を与えてきました。
さてここでご紹介したいのは、私たちの先輩看護学生の提案が星野さんの生涯に影響を与えたということです。「自分で死ぬこともできないとお母さんに当たり散らし、ハンガーストライキをしておりました」 そんな中、受け持ち学生だった先輩は、何もできない自分に悩みながらも「一番したいことは何ですか」と尋ねましたところ、「友人に手紙を書きたい」との答えが返ってきました。残された力で何とかできないかと一途に考え、考え続けました。ある日、毎日している体を拭くケアの時に気づきがありました。側臥位になる時がある??そして、星野さんに「横を向く姿勢ならば口に筆をくわえて手紙が書けるのではないですか?」と声をかけ、実践したのです。さぞ勇気がいたことと思います。
星野さんは、医師や看護師の継続した医療ケア、毎日繰り返されるリハビリ訓練、己の人生に苦悩する日々を一緒に受け止め「生きろ!」と教えてくれた家族や友人など、多くの人たちとの関わりを通しながら、唯一無二の作品を生み出しました。
看護における、個と個の関わりが対象者の力を引き出し、多くの関係者が連鎖しながら大きな輪となり、死の淵から自分で這い上がる希望の原動力を生み出したのです。
どうぞ、これから歩んでいく看護という仕事の中で、対象者の希望を叶えるためにあなたが感じた気づきや思いを同僚や周囲に伝わるよう発言してください。それが個や集団を変える力になります。
大学院前期?後期課程修了生の皆様、実践現場での課題に対し科学的な探求のプロセスを踏むことの難しさ、楽しさや喜びを味わった日々だったと思います。出口が見えない苦しみもあったと思いますが、最後は皆、それらを乗り越えられました。その経験は皆様を一段と成長させたように思います。高齢社会が進展する我が国の保健医療福祉の命題は、健康寿命を延ばし、人々が幸せに生きることです。看護学は、自然科学と人間科学の双方の要素を持ち、人との相互作用を基盤として、健康に関連して人々が示す反応の意味を探索し、すべての発達段階、すべての健康の段階にある人間、家族、地域の健康問題に取り組みます。
対象の尊厳が守られる暮らしを支援し、個や集団を動かし、地域を健康にしていく役割もあります。皆様には学位を有する看護のリーダーとして、他者のモデルとして、時代のニーズを先取りし、施設内外の看護を変革する人になることを強く期待します。そのためには常に研究成果を活用し、根拠をもち実践や教育に活かすことが求められます。またがんや認知症を有する人の課題に真摯に向き合った研究の成果を一刻も早く公開し、後世の財産として示し、多くの看護職、医療関係者が活用?発展できるようにしていただきたいと切に願っています。
最後に、新しい門出に向けて、「初めの一歩は自分への尊敬から」というニーチェの言葉を贈ります。「自分をたいしたことがない人間だなんて思ってはならない。自分を尊敬すること、それは自分の可能性を大きく開拓し、それを成し遂げるにふさわしい力を与えることになる。」という意味です。本学での仲間との絆や学びを誇りに、人々の健康を守り、病気や障害に苦しむ人々に寄り添い生き切ることを支援する看護職となる皆さんの健康と活躍を祈念して、学長の言葉とさせて頂きます。
令和7年3月14日
中国足彩网
学長 神田 清子